血糖値が低い時の症状

低血糖っていったい何?その原因は?

一般的に血糖値が70mg/dl以下を低血糖と呼びます。

糖尿病の治療で、血糖値を下げるために薬を飲んだり、インスリンの注射をする治療法があります。でもまれに薬が効きすぎてしまい、血糖値が急激に下がってしまうことがあるんです。

ただ実際に血糖値がどれくらいまで下がったら低血糖の症状があらわれてくるのかは人によってさまざま。(血糖値のすごく高い人は100mg/dlぐらいで低血糖の症状があらわれることも)

一日中、血糖値を測っているわけにもいかないので、数値を気にしていてもしかたないですよね。それよりも低血糖を引き起こしてしまう要因をなくしたり、低血糖の初期症状を見逃さないようにすることの方が大切です。


例えばこんな時に低血糖になりやすいです

●飲み薬やインスリン製剤の量を間違えた(多かった)
薬の量が多ければ必要以上に血糖値が下がってしまうことも。また量だけでなく、製剤をよく混ぜなかったり、注射した部位を揉んでしまったり、注射直後に運動することでも低血糖になりやすい。

●薬や注射のタイミングを間違えた
食後の時間がだいぶ経ってしまっているとすでに血糖値が下がりはじめているかも。

●長時間食事を取らなかった、あるいは量が足りなかった
ダイエット中だからと極端に糖質の量を減らしてしまうと低血糖になるリスクもアップ。また肉類は血糖値を上げにくい。

●空腹時に激しい運動や入浴をした
運動や入浴は血糖値を下げる。空腹時に行うと薬が効きすぎてしまう。とくに運動は薬の効きをよくしすぎてしまうため、運動をしてしばらくたった後に低血糖になることも。激しい運動をした後、24時間くらいは要注意。

●飲酒
アルコールは肝臓の機能をおさえて、ブドウ糖が作られるのを低下させる。そのため血糖値が下がりやすい。

●他にも薬を飲んだ
血糖値を下げる作用のある薬や低血糖症状に気づきにくくなる作用のある薬などもあるので注意。一般的な薬ですと解熱鎮痛剤です。

●下痢・嘔吐
十分な栄養素を吸収できないために低血糖になりやすいです。

●月経
生理前にはインスリンの効果が落ち、よりたくさんのインスリンが必要になります。

血糖値があまり上がっていない状態なのに、薬が効いてしまい血糖値をさらに下げようとするために低血糖になってしまうんですね。

血糖値は1日の中でもかなり変動するものです。健康体であれば血糖値をコントロールするために、その時その時にあったインスリンの量が自然に分泌されるのですが、薬で一定量を補ったりしていると、インスリンの量が足りなくなったり、逆に多すぎたりしてしまうこともあります。

血糖値を下げる薬を使っている以上、低血糖になってしまうこともあると肝に命じておきましょう。

低血糖の症状とは

一般的に血糖値が70mg/dl前後になると低血糖の症状があらわれはじめてきます。

低血糖の症状には交感神経症状と中枢神経症状があります。

交感神経症状とは、血糖値が下がった時に、それをあげようとインスリン拮抗ホルモンが分泌されます。このホルモンによって血糖が下がり過ぎないように調節されているんですね。ただこれらのホルモンは交換神経を刺激するのでさまざまな症状があわられます。これ以上血糖値が下がってしまうと脳へのダメージも出てくるから気をつけてよ!という警告でもあります。

中枢神経症状とは脳のブドウ糖不足によって引き起こされるもの。脳のエネルギー源はほとんどがブドウ糖なので、ブドウ糖が不足してしまうと脳の機能が正常には働かなくなってしまいます。意識障害につながるので大変危険です。

このような症状があらわれます

70mg/dl以下 あくび、不快感、考えがまとまらない、急激にお腹がすく
50mg/dl以下 冷や汗、めまい、動悸、脈拍が速くなる、顔面蒼白、眠気、体のだるさ、吐き気、イライラ、目がちらつく、頭痛、ふるえ、無気力、計算ができない、ものが二重に見える
30mg/dl以下 異常行動、意識がもうろうとする、意識を失う、けいれん、昏睡

ただ、低血糖の初期段階では自覚症状があまりなかったりするので、それだけに頼っていては危険です。また血糖値の低下が穏やかだったり、低血糖の状態が続いてしまっていると自覚症状もなかったりします。

糖尿病による自律神経障害のために、初期の低血糖の症状が出なかったり、気づかなかったりすることも。そして一気に意識障害が出て倒れてしまい、最悪、死につながることもある低血糖。十分に注意しなければいけません。

また重度の低血糖になってしまった人は1~2ヶ月はとくに気を付ける必要があります。無自覚性低血糖といい、初期の低血糖の症状が出ずに、いきなり昏睡状態におちいってしまうこともあります。合併症で自律神経に障害がある人や長い間インスリン治療を行っている人に多いです。

ただ最近は新薬の開発も進んでいて、インクレチン関連薬が注目されています。この薬は血糖値が低い時は作用しないという特徴があるので、単独で使っている分には低血糖を起こす心配がないといわれています。

低血糖の対処方法

自力でなんとかできるなら・・・

「あれ、おかしいな」と思ったらすぐに血糖値をあげなければなりません。その時にしている活動はすぐにやめてください。運転中であればすぐに車を停止。もう少し大丈夫かなと甘く見ていると大変危険です。

まずは安静にして、糖類を補給しましょう。砂糖やハチミツ、清涼飲料水、ジュース、缶コーヒーなどなんでもいいです。糖類を10~20gとってください。ジュースなら350ccの缶の6~8割ほど飲みます。

普段からバッグにペットシュガーや角砂糖などを入れておくと安心ですが、そのままでは飲みにくいですよね。飲みやすくてしかも吸収が速いジュースがおすすめです。

日持ちするからと言ってアメやチョコレートを持ち歩いている人もいますが、低血糖の時には不向き。体内への吸収も遅いですし、とくにチョコレートはすぐに血糖値をあげず、あとになって上昇させる作用があるのでNGです。

もし砂糖やジュースがなかったらビスケットでもキャラメルでもOK。それも手元にない場合は炭水化物系のものを食べましょう。

糖類をとって、15分もすればだいたいおさまると思いますが、まだ具合が悪かったらさらに5~10gほど追加してみて様子をみます。

ただし、αーグルコシダーゼ阻害薬を服用している人は、砂糖ではきかないのでブドウ糖を取らなければいけません。この薬は糖質の吸収を穏やかにするものなので、砂糖をとっても血糖値がすぐに上がらないんです。

そのため砂糖をさらに吸収しやすくしたブドウ糖を取る必要があります。タブレットタイプなどのブドウ糖は薬局などでも数百円で市販されています。あるいはブドウ糖をたくさん含む清涼飲料水でもOKです。(ファンタやコカコーラなど)

自力ではどうにもならない時は・・・

手足のふるえや動悸、冷や汗、頭痛、脱力感、吐き気くらいの症状でしたら、糖類を摂取することで対処できるかもしれません。でもそれ以上すすんで、意識障害やけいれん、昏睡などの症状が出てしまったら、自分で糖類を取ることは難しくなります。

周囲の人の助けが必要になります。家族や親しい友人などには対処方法を知っておいてもらえると心強いですよね。

①砂糖やブドウ糖を歯茎と唇の間にすり込む(ジュースや砂糖水など液体ですと誤嚥してしまう可能性も。NGです)
②グルカゴン注射かブドウ糖注射をして、主治医にすぐに連絡
③注射もできない、または回復しない時はすぐに救急車を。

グルカゴン注射とは、血糖をあげるホルモン剤であるグルカゴンを筋肉注射することです。万が一の時に家族や周囲の人があわてずにできるように病院で指導を受けておきましょう。

ただグルカゴン注射について十分な説明を受けていない患者さんも多いのだそう。実際、注射セットを持っている患者さんも少ないので、まだまだ日本では活用されていないようです。

糖尿病カードとは

緊急時にまわりの人に糖尿病患者だということを知らせるカードです。わかりやすいところに入れてつねに携帯しましょう。低血糖の症状が出ているときはもちろん、交通事故などの際にも、医療関係者に糖尿病だとわかれば適切な処置ができるでしょう。

主治医の先生に相談すれば入手できます。もしできなければ「日本糖尿病協会事務局」あてに82円分の切手を入れた封筒を送りましょう。その際、氏名や住所、電話番号、糖尿病カードが欲しい旨を明記するのを忘れずに。

また手書きでもかまいません。表には「私は糖尿病です。I HAVE DIABETES 意識不明になったり異常な行動がみられたら私の携帯している砂糖(ブドウ糖)を食べさせるか、または甘いジュースなどの甘い飲み物を飲ませてください。それでも回復しない時は、裏面の医療機関に電話して指示を受けてください」と記入します。

裏面には氏名、電話、受診医療機関名、主治医名、カルテ番号、医療機関の電話番号、治療内容について書きます。

低血糖は予防が何より大切です。食事時間を守る、医師から指示されたカロリーを守る、薬の服用や注射の時間を守る、空腹時の運動をさけるなどに注意して、規則正い生活を送りましょう。

少し強めの運動をしたり、例えば登山をするという時は事前に捕食で少し多めにカロリーをとっておきましょう。捕食は通常80キロカロリー程度の炭水化物です。

シックデイに注意

糖尿病の人が風邪を引いたり、不意に何かの病気にかかると、血糖値が大きく乱れることがあります。熱があったり、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢をしているなど体調が悪い日のことをシックディ(病気の日)と呼びますが、注意が必要な日です。

シックディでは血糖値が上がってしまうことも多いですが、食欲不振などで食事がとれないと低血糖になってしまうこともよくあります。

シックディでもできるだけ普段通りの食事を心がけたいです。でもどうしても食べられない時もありますよね。そんな時はおかゆやアイスクリーム、ジュースなどでもOKです。

下痢や嘔吐の症状があるときはとくに脱水症状にも気をつけましょう。水分は1日1~1.5リットルはとってください。

また食事の量がいつもよりも少ないからといって、自分で勝手に薬の量を減らさないでください。早めに病院を受診して医師の指示を仰ぎましょう。

低血糖をおこしやすい病気もある

糖尿病の薬物治療をしている人だけでなく、すい臓や肝臓の病気がある人も低血糖になりやすいです。例えばインスリノーマという膵島細胞腫やインスリン自己免疫症候群と言う病気ですと、血糖値が低くてもインスリンが分泌されるので低血糖になります。

また肝不全などで肝機能に異常があるとブドウ糖が作られにくくなるのでやはり低血糖になります。


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